キーボードの「軸」を深掘り!Cherry MX互換スイッチの種類と特徴、打鍵感の違いを徹底比較!赤軸、青軸、茶軸だけでなく、あまり知られていないスイッチも紹介。

「キーボードの打鍵感にこだわりたいけど、種類が多すぎて何を選べばいいかわからない…」
そんな悩みを抱えていませんか?メカニカルキーボードの心臓部とも言える「キースイッチ」、通称「軸」。この軸の種類によって、タイピングの感触や音は劇的に変わります。
この記事では、メカニカルキーボードスイッチの代表格であるCherry MXスイッチとその互換スイッチに焦点を当て、それぞれの特徴や打鍵感の違いを徹底比較します。定番の赤軸、青軸、茶軸はもちろん、少しマニアックなスイッチや、Cherry社以外の人気メーカースイッチもご紹介。具体的な製品もAmazonのリンク付きで紹介するので、あなたにぴったりのキーボード選びの参考にしてください。
メカニカルキーボードスイッチの基本
メカニカルキーボードスイッチは、キーを押した際の感触(タクタイル感)や音、キーが反応する深さ(アクチュエーションポイント)、押し込むのに必要な力(押下圧)などが異なります。主な種類として、以下の3タイプに大別されます。
- リニア: スムーズで引っかかりのない打鍵感。キーを底まで押し込む感覚が一定です。静音性に優れる傾向があります。
- タクタイル: キーを押し込む途中で明確な「カチッ」とした感触(タクタイルフィードバック)があるタイプ。確かな打鍵感が得られます。
- クリッキー: タクタイル感に加え、タイピング時に「カチカチ」というクリック音が発生するタイプ。軽快な打鍵音を楽しめますが、使用環境を選ぶことがあります。
それでは、具体的なスイッチの種類を見ていきましょう。
定番!Cherry MXスイッチとその特徴
メカニカルキーボードスイッチの元祖とも言えるCherry MXスイッチ。その高い品質と信頼性から、多くのキーボードメーカーで採用されています。
軸の種類 | タイプ | 押下圧 | ストローク | 打鍵感・音 | 特徴 |
赤軸 | リニア | 約45g | 約4.0mm | スムーズで軽い。音は比較的静か。 | 癖がなく、ゲームから普段使いまで幅広く対応。初心者にもおすすめ。 |
青軸 | クリッキー | 約50g | 約4.0mm | 「カチッ」とした明確なクリック音とタクタイル感。タイプライターのような打鍵感。 | タイピングの楽しさを追求したい人向け。音が出るため、周囲への配慮が必要。 |
茶軸 | タクタイル | 約45g | 約4.0mm | 軽い「コクッ」としたタクタイル感。音は赤軸と青軸の中間程度。 | バランスが良く、打鍵感と静音性の両立を求める人向け。 |
黒軸 | リニア | 約60g | 約4.0mm | 重めのリニア。しっかりとした押し心地。 | 反発力が強く、誤入力を防ぎやすい。長時間のタイピングには慣れが必要。 |
銀軸 (スピード軸) | リニア | 約45g | 約3.4mm (AP:1.2mm) | 浅い接点で反応。高速入力向け。 | 反応速度が求められるゲームに最適。 |
静音赤軸 (ピンク軸) | リニア | 約45g | 約3.7mm | 赤軸をベースに静音化。オフィスなど音を気にする環境に。 | 打鍵音を抑えつつ、リニアの滑らかな打鍵感を求める人向け。 |
クリア軸 | タクタイル | 約55g (タクタイル圧高め) | 約4.0mm | 茶軸より重く、しっかりとしたタクタイル感。 | より確かなフィードバックを求める人向け。 |
Cherry MXスイッチ搭載キーボードの例
- 赤軸: FILCO Majestouch 2 (CHERRY MX 赤軸)
- 青軸: HyperX Alloy Origins Core (HyperX Blue スイッチ)
- 茶軸: Logicool G G413 TKL SE (タクタイルスイッチ)
- Logicool独自のスイッチですが、茶軸に近いそうです。
- 銀軸: CORSAIR K70 RGB TKL CHAMPION OPX Corsair独自OPX軸採用 日本レイアウト テンキーレス 日本語配列 ゲーミングキーボード CH-911901A-JP
- Corsair独自軸ですが、銀軸に近いタッチ感だそうです。
Cherry MXだけじゃない!注目の互換スイッチメーカー
近年では、Cherry MXスイッチの特許が切れたことにより、多くのメーカーが高品質な互換スイッチを開発・製造しています。それぞれに独自の特徴があり、選択肢はますます広がっています。
1. Gateron (ゲイトロン)
Cherry MXスイッチと比較して、より滑らかな打鍵感が特徴とされることが多いメーカーです。特にリニア系のスイッチは評価が高く、軽いタッチで入力したいユーザーに人気があります。
- Gateron Red/Blue/Brown: Cherry MXの各色軸に相当。よりスムーズな打鍵感が特徴。
- Gateron Yellow: 赤軸と黒軸の中間のような押下圧(約50g)のリニアスイッチ。適度な重さが人気。
- Gateron Inkシリーズ: 筐体に特殊な素材を使用し、より滑らかで安定した打鍵感を実現した高級ライン。
- Gateron Proシリーズ: 工場出荷時から潤滑(ルブ)が施されており、よりスムーズな打鍵感と静音性を実現。
Gateronスイッチ搭載キーボードの例
- Keychron K2 (Gateron G Pro Red/Blue/Brown)
- EPOMAKER Luma84 薄型アルミニウム ワイヤレスメカニカルキーボード
- Black&Blue, Gateron Low-Profile Red Switch
2. Kailh (カイル)
Cherry MX互換スイッチの老舗メーカーの一つ。豊富なラインナップと、独自の革新的なスイッチ開発で知られています。特に「BOXスイッチ」シリーズは、防塵防水性能や独特の打鍵感で人気があります。
- Kailh Red/Blue/Brown: Cherry MXの各色軸に相当。
- Kailh BOXスイッチ (Red/Blue/Brown/White/Blackなど): 軸の周囲をBOX状のパーツで覆うことで、防塵防水性能(IP56)を高め、軸のブレを軽減。クリック音も独特で、BOX Whiteは軽快なクリック音とタクタイル感が特徴。
- Kailh Speedスイッチ (Silver/Copper/Bronze/Gold): アクチュエーションポイントが浅く、高速入力に特化。
- Kailh Proスイッチ (Purple/Burgundy/Light Green): Cherry MXスイッチよりも軽いタッチや、異なるタクタイル感を持つスイッチ。
Kailhスイッチ搭載キーボードの例
3. Outemu (オウテム)
コストパフォーマンスに優れたスイッチを提供するメーカー。比較的安価なメカニカルキーボードに採用されることが多いですが、品質も向上しており、侮れない存在です。
- Outemu Red/Blue/Brown: Cherry MXの各色軸に相当。Cherry MXと比較して若干打鍵感が異なると言われることもあります。
- Outemu Silentスイッチ: 静音性に特化したスイッチ。
Outemuスイッチ搭載キーボードの例
- 多くの低価格帯メカニカルキーボードに採用されています。特定のブランドというよりは、製品仕様を確認する必要があります。
- 61キーメカニカルキーボード 英字配列
4. TTC
スムーズな打鍵感と高い耐久性で評価を得ているメーカー。特にリニアスイッチの品質に定評があります。
- TTC Gold Pink: 軽い押下圧(約37g)と滑らかな打鍵感が特徴のリニアスイッチ。
- TTC Speed Silver: Cherry MX Speed Silverと同様に高速入力向けの浅いアクチュエーションポイントを持つリニアスイッチ。
- TTC Bluish White: 軽めのタクタイルスイッチで、心地よいフィードバックが得られます。
TTCスイッチ搭載キーボードの例
- Varmilo (一部モデルでTTCスイッチを採用)
- IQUNIX (一部モデルでTTCスイッチを採用)
5. Akko (アッコ)
キーボード本体だけでなく、オリジナルのキースイッチも開発・販売しているメーカー。カラフルでユニークなデザインのキーボードや、独自の打鍵感を持つスイッチが人気です。
- Akko CS (Custom Series) スイッチ:
- CS Rose Red: 滑らかで軽いリニアスイッチ。
- CS Lavender Purple: 茶軸に近いタクタイル感を持つスイッチ。
- CS Ocean Blue: 青軸よりは穏やかなクリック音とタクタイル感。
- CS Jelly White/Pink/Black: 透明なハウジングが特徴的なスイッチ群で、それぞれ異なる打鍵感。Jelly Pinkは軽いリニア、Jelly Whiteはさらに軽いリニア、Jelly Blackは重めのリニアなど。
- Akko V3 Generation Pro スイッチ: 改良が加えられた最新世代のスイッチ。ルブ済みでよりスムーズな打鍵感。
Akkoスイッチ搭載キーボードの例
あまり知られていない?注目のスイッチ
上記以外にも、個性的なスイッチはたくさん存在します。
- Zeal PC Zealios/Tealios/Zilents: カスタムキーボード愛好家から絶大な支持を得る高級スイッチ。Zealiosはタクタイル感の強さで有名。Tealiosは非常に滑らかなリニア。Zilentsは静音タクタイル。高価ですが、その打鍵感は唯一無二と評されます。
- Halo True/Clear: Drop (旧Massdrop) で開発されたスイッチ。Halo Trueは重めのタクタイルで、底打ち感が特徴的。Halo Clearも同様にタクタイル感が強い。
- NovelKeys Cream: 全体がPOM素材で作られており、使い込むほどに滑らかさが増すと言われるリニアスイッチ。独特の打鍵音が特徴。
- 光軸 (オプティカルスイッチ): 物理的な接点ではなく、光の遮断によって入力を検知するスイッチ。反応速度が速く、耐久性も高いとされています。Razerなどが採用しています。
これらのスイッチを搭載したキーボードの例
- Zeal PCスイッチ: 主にカスタムキーボードパーツとして販売されており、搭載済み完成品は少ないです。
- NovelKeys Creamスイッチ搭載キーボード: NK65 – Entry Edition (現在は入手困難な場合あり)
- 光軸スイッチ搭載キーボード: Razer Huntsman Mini (Razer リニア/クリッキー オプティカルスイッチ)
自分に合ったスイッチの選び方
これだけ種類があると、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。スイッチ選びのポイントは以下の通りです。
- 用途で選ぶ:
- ゲーミング: 反応速度の速いリニア(赤軸、銀軸、Gateron Yellow、Kailh Speed系など)や、確実な入力感が得られるタクタイル(茶軸、Kailh BOX Whiteなど)が人気。
- 長文タイピング: 指への負担が少ないリニア(赤軸、静音赤軸)や、適度なタクタイル感でリズムよく打てるタクタイル(茶軸、Akko CS Lavender Purpleなど)がおすすめ。
- プログラミング: 打鍵感の好みによりますが、タクタイル系やリニア系が選ばれることが多いです。
- 静音性が求められる環境: 静音赤軸や、ルブ済みのリニアスイッチ、Zilentsのような静音タクタイルスイッチが良いでしょう。
- 打鍵感の好みで選ぶ:
- 軽いタッチが好き: 赤軸、Gateron Clear(Gateron最軽量リニア)、Akko CS Jelly Pinkなど。
- しっかりとした押し心地が好き: 黒軸、Gateron Black、Halo Trueなど。
- 明確なクリック音が好き: 青軸、Kailh BOX White、Gateron Blueなど。
- クリック音は不要だが、確かなフィードバックが欲しい: 茶軸、Kailh BOX Brown、Zealios、Akko CS Lavender Purpleなど。
- 実際に試してみる:可能であれば、家電量販店やPCショップなどで実際にキーボードを触ってみるのが一番です。スイッチテスター(様々な種類のスイッチが一つになったお試しキット)を購入してみるのも良いでしょう。
- スイッチテスターの例: GATERON キーボードスイッチ テスター
まとめ
キーボードの「軸」は、あなたのPCライフを大きく左右する重要な要素です。この記事で紹介した以外にも、世の中には無数のキースイッチが存在します。
定番のCherry MXスイッチから、個性豊かな互換スイッチ、そして少しマニアックなスイッチまで、それぞれの特徴を理解し、自分の好みや用途に合った最高のキースイッチを見つけて、快適なタイピング環境を構築してください。
この記事が、あなたのキーボード選びの一助となれば幸いです。